映画『エリジウム』ディストピアとユートピアが共存する世界

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皆様こんにちは。毎週おすすめ映画をご紹介いたします小西です。

本日ご紹介するのは2013年公開、ニール・ブロムカンプ監督の映画『エリジウム』です。

 

 

2154年。スペースコロニー“エリジウム”で生活する富裕層はパーフェクトな居住空間で過ごす一方、荒廃した地球に暮らす貧困層はひどい搾取に苦しんでいた。エリジウム政府高官のローズ(ジョディ・フォスター)が地球の人間を消そうと動く中、地球で暮らすマックス(マット・デイモン)はエリジウムに潜入することを決意。残り5日しかない寿命を懸けて戦いに挑む。

『第9地区』や『チャッピー』などSF作品を手掛けるニール・ブロムカンプ監督のSFアクション。荒廃した地球と富裕層だけが暮らす理想郷「エリジウム」を舞台に、ダークな未来世界をリアルに描く。

 

 

私はニール・ブロムカンプ監督の映画の斬新なアイデアや世界観が大好きです。その中でも作品の数多くの重要な部分を構成するメカデザインは素晴らしいの一言に尽きます。今作もまた、工業デザイナーのシド・ミードやメカデザイナーのアーロン・ベックなどの名だたる名デザイナーによる素晴らしい仕事を作品を通して見ることができます。荒廃した地球の退廃的な様相を反映させた景観や治安維持ロボット、落書きだらけの建物や乗り物、一方で、富裕層たちの理想郷であるスペースコロニー「エリジウム」はこぎれいなファッションや建築物、未来のテクノロジーを搭載した家具など、細部までいきわたったつくり込みが見事です。

『エリジウム』のアートブック(洋書版)です素晴らしいアートワークが多数まとめられています。

ストーリーはブロムカンプ監督が得意とするSFに、現代社会の諸問題を誇張し融合させたもので、今作は格差社会がテーマとなっています。2154年のスラムと化したロサンゼルスと裕福なもののみが居住することを許されたスペースコロニー「エリジウム」の相反する混沌とした二つの舞台は、持つものと持たざる者を端的に表した現代社会への痛烈な風刺となっています。

主人公も物語中盤までは必死に自分の生にしがみつくような言動を繰り返し、数多くの映画にみられる絶対的ヒーローのような主人公とは似ても似つかないグレーな人間です。そんなリアルな人間描写も重厚なストーリを作り上げる要素になっています。

素晴らしいメカデザインと世界観を思う存分楽しめる作品です。是非一度ご覧になってはいかがでしょうか。

 

 

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