映画『ATARI GAME OVER (アタリ ゲームオーバー)』史上最悪のクソゲーを掘り起こせ!

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皆様こんにちは。毎週おすすめ映画をご紹介いたします小西です。

今月11日から13日にかけてアメリカ、ロサンゼルスにてE3(Electronic Entertainment Expo)2019が開催されました。

世界最大の新作ゲームの発表会で、今年も数多くのコンピューターゲームコンテンツがアナウンスされました。『サイバーパンク2077』の発表ではキアヌ・リーヴスがサプライズ登場したり、新作ゲーム『GHOSTWIRE TOKYO』の発表に登場したノリノリの日本人女性が会場を沸かせたりとゲーム以外にも世界中のゲーマーたちを熱狂させました。

今日、世界のゲーム市場は15兆円を超え年々拡大し続け、単なるエンターテイメントとしてだけでなく、教育やインフラ、スポーツなど様々な分野へと発展を遂げ最先端の技術を身近なものにしています。

今でこそ家庭用ゲーム機は当たり前のように数多くの家庭に普及していますが、今のコンシューマーゲーム機の原型が出来上がったのは今から約40年前、パーソナルコンピューターの元祖「マッキントッシュ」の発売よりも前でした。当時の子供はゲームを通し始めてコンピューターに触れコンピューターとは何かを知ることになったのです。この偉業を成し遂げ、歴史から忽然と姿を消した企業が今回紹介する映画の主人公「アタリ」です。

前置きが長くなってしまいましたが、本日ご紹介するのは2014年公開、ザック・ペン監督の映画『ATARI GAME OVER(アタリゲームオーバー)』です。

1980年代初頭にブームとなったTVゲーム機“ATARI2600”専用のゲームソフト「E.T.」は、スティーヴン・スピルバーグの同名大ヒット映画とタイアップして作られたが、ゲーマーたちから史上最悪のゲームとしての烙印を押され、製作元のビデオゲーム会社“ATARI社”の倒産を招いたといわれている。その「E.T.」の不良在庫が、アメリカ・ニューメキシコ州にある砂漠に大量に埋められているという都市伝説を検証すべく「X-MEN:ファイナル ディシジョン」の脚本で知られるザック・ペンがメガホンを取ったドキュメンタリー作品。“ATARI”に関わった様々な人に取材を試み、消え去ったクリエイターへのインタビューを行うことにより、その数奇な運命をたどってゆく。

「アタリ」といっても日本ではあまりなじみのない企業ですが、コンピューターゲームの歴史を語る上では欠かせない存在です。1977年に世界で初めてロムカートリッジの付け替えで様々なゲームが遊べる「Atari 2600」を発売し瞬く間に現在に至るゲーム業界のきそを構築した会社です。しかし、みなさんもご存じの通り現在家庭用ゲーム市場に「アタリ」の名前は見当たりません。それもそのはず「アタリ」はゲームメーカーとしては1983年を機に衰退、倒産しています。家庭用ゲーム機市場で栄華を誇った企業はなぜ「アタリショック」とも呼ばれる悲劇を生んだのでしょうか。この映画では元ゲームプログラマーやゲーム愛好家など数々の視点でそれを紐解いていきます。

「アタリ」の生み出した伝説は数多くありますがその中でもとりわけ有名なものが「ゲームの墓場」です。現在でもクソゲー(あまりにもひどいゲームの俗称)の代名詞としてあげられる『E.T.』。スティーブン・スピルバーグの大人気同名映画を「アタリ」がゲーム化した作品でありながら発売から30年以上たった現在でも酷評され続けています。そんな「E.T.」の大量に売れ残った在庫がニューメキシコ州のアラゴモードの埋め立て地に埋められているという都市伝説です。

今作はその都市伝説を実際に掘り返して解明していくドキュメンタリー映画です。「E.T.」の元ゲームプログラマーや社会学者、ゲーム愛好家、「レディープレイヤーワン」の原作者アーネスト・クラインなど様々なインタビューを交えながらビデオゲーム界最大の謎と伝説のクソゲーと呼ばれた「E.T.」の開発の真実が解き明かされます。

ドキュメンタリー映画でこんなにワクワクしたのは初めてです。徳川埋蔵金の発掘のようなワクワク感とビデオゲームの歴史を楽しめる映画です。ゲームに興味がある人もそうでない人も楽しめる作品ですので是非一度ご覧になってはいかがでしょうか。

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