「核兵器禁止条約の発効」って、どうゆう意味があるの?

国連SDGs

2021年1月22日、「核兵器禁止条約の発効」というニュースが、世界を駆け巡りました。

でも、そもそも「核兵器禁止条約」とは、どんな条約なのでしょうか。
また、条約の採択・批准・発効とは、どんな意味なのでしょう。
そして、(慣習)国際法とは、どんなものでしょう。どんな効力があるのでしょうか。

そんな疑問を持ったので、調べてみました。

○ 核兵器禁止条約 (TPNW) とは?

前文および20 箇条からなるTPNW は、まず前文で、「核兵器のいかなる使用によってももたらされる壊滅的な非人道的結末を深く懸念し、核兵器がいかなる状況下でも二度と使用されないよう保証するための唯一の方法である核兵器の完全な廃絶が必要であることを認識し」、「核兵器使用の被ばく者(hibakusha)及び核実験により影響を受けた人々にもたらされる容認し難い苦しみと損害に留意し」、「核兵器のいかなる使用も武力紛争に適用可能な国際法の規則、特に国際人道法の原則及び規則に違反することを考慮し」、「核兵器の法的拘束力のある禁止は、核兵器の不可逆的、検証可能、かつ透明性のある廃絶を含む、核兵器のない世界の達成及び維持に向けた重要な貢献となることを認識し、この目的に向けて行動することを決意」することなどが記された。

条約第1 条では、推進派が目指した禁止規範を具現化するものとして、締約国による核兵器その他の核爆発装置(以下、核兵器)の(a) 開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、(b) 移転、(c) 受領、(d)使用または使用の威嚇、(e) 禁止された活動の援助、奨励、勧誘、(f) かかる援助の要求・受諾、(g) 領域内などへの配置、設置または配備の禁止が規定された。

つまり、こうゆうことですね。

○ 条約の採択・署名・批准・発効とは

国際的な「条約 Treaty、convention 」は、国際法に基づいて成立する国際的合意であり、文書による国家間の合意。「協約」「協定」「規約」「憲章」「宣言」「交換公文」「議事録」「議定書」などともいい、次のような流れで締結・発効します。採択→署名→批准→発効・締結

  • 採択 adopt =条約の内容を確定すること
  • 署名 sign =条約に参加(賛成)することを意思表示
  • 批准 ratify =国家として正式に同意する
  • 発効 effect ・締結 Conclude=条約の内容が効力を発揮、最終的な確定

核兵器禁止関係の条約で見ると。

  • 2010年5月 核不拡散条約 (NPT) 再検討会議
  • 2016年 国連総会 「多国間核軍縮交渉の前進」が採択
  • 2017年7月7日 核兵器禁止条約 (TPNW) 採択                                                                          賛成122,反対1(オランダ),棄権1(シンガポール)
  • 2017年9月20日 核兵器禁止条約 (TPNW) 署名・批准開始
  • 2020年10月24日 批准国が50か国に到達                                                                                ホンジュラス共和国の批准により、発効に必要な50か国に到達
  • 2021年1月22日 核兵器禁止条約 (TPNW) 発効 署名86カ国 批准51カ国

○ (慣習)国際法とは、どんなものでしょう。どんな効力があるのでしょうか。

国際法 International Law, Law of Nations とは、普通国内で通用する法律に対して、国際社会や国家間を規律する法で、「条約」や「慣習国際法」・「法の一般原則」のこと。

「条約」は基本的に批准などの手続きを行った国だけに適用されるが、「国際慣習法」はすべての国々に普遍的に適用されるもの。ジュネーブ条約、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約、地雷禁止条約など聞いたことがありますね。

核兵器に関する国際条約は、核兵器禁止条約以外にも核兵器不拡散条約や包括的核実験禁止条約などがあります。
核兵器禁止条約は、核兵器廃絶を目的とした国際条約となります。

多数国間で結ばれる条約の場合、条約が発効する要件として、批准書・加入書等を寄託した国が一定数に達する等の所定の条件を満たしたときに初めて締約国に対して効力を生ずるのが通例。核兵器禁止条約の場合は、批准国が50カ国で発効するという条件だったわけです。

現在、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国は、すべて核保有国であり、「禁止条約には拘束されない。同条約が慣習国際法の発展に貢献するとか、新たな国際規範を樹立するとの主張を受け入れない」と述べ、アメリカは批准した国にその撤回を求める書簡を送るという異例なことまでしました。

結局、「核兵器禁止条約の発効」は、現在は条約を批准した国の行動を縛る条約なのですが、その批准国が増えていくことによって、将来、国際法(批准していない国も縛る)として認められることになるわけです。核保有国は9カ国、その他の180カ国は核兵器を持たないのですから、その可能性は大きいのではないでしょうか。

「核兵器禁止条約の発効」というニュースが、世界中を駆け巡った理由が判りました。ガッテン。

 

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