@今週の洋楽 明日なき世界 Eve of Destruction バリー・マクガイア Barry McGuire 忌野清志郎のカヴァーで甦る P.F.スローンの名曲

今週の洋楽 ぶろっこり

音楽大好きの ぶろっこり が、気ままに気になる気分のミュージックをお送りする @今週の洋楽 。

今回は、バリー・マクガイア Barry McGuire の「明日なき世界 Eve of Destruction 」をピックアップ。

「明日なき世界 Eve of Destruction」は、「グリーン・グリーン Green Green 」1963年 などのヒット曲で知られるフォーク・グループ、ニュー・クリスティ・ミンストレルズ New Christy Minstrels のリード・ボーカルだったバリー・マクガイア Barry McGuire がソロとして1965年に発表したシングル。核戦争の恐怖を歌う歌詞が過激すぎるという理由で、発売当時は放送禁止になりますが、それが却って関心を集め全米No.1を獲得、世界的なヒット曲になりました。皮肉なことです。

残念ながら、この後バリー・マクガイア Barry McGuire にはあまりパッとしたヒットはありません。ぷろっこりも、他の曲は思いつかないですね。でも、この「明日なき世界」を作曲したシンガー・ソングライターの P.F.スローン P.F. Sloan には、思い入れがあります。 P.F.スローンといえば、日本では「孤独の世界 From A Distance」がヒットしたので、記憶に残っている方もいるでしょう。日本のだけのヒットでしたが、日本のリスナーの感性にハマったのかもしれません。1945年にニューヨークで生まれロスアンゼルスで育ちのP.F.スローンは、13歳でレコード・デビュー。16歳で大手音楽出版社スクリーン・ジェムス社で、プロデューサーのルー・アドラーのもと、スティーヴ・バリと組んでソング・ライティングしています。ルー・アドラーが1965年にダンヒル・レコードを設立するとスローンも移り「明日なき世界 Eve of Destruction 」をつくりました。もともとバーズ The Birds のためつくられましたが、タートルズ The Turtles が採用してアルバムに録音しています。けれど、あまり注目はされなかったようです。

The Turtles – Eve Of Destruction

確かに、弾き語りのバリー・マクガイアの声の方がこの曲の不安感や恐怖を伝えてくれる気がしますね。

 

Eve Of Destruction Barry McGuire 1965

The Eastern world, it is explodin’
Violence flarin’, bullets loadin’
You’re old enough to kill but not for votin’
You don’t believe in war, but what’s that gun you’re totin’?
And even the Jordan river has bodies floatin’
But you tell me
Over and over and over again, my friend
How you don’t believe
We’re on the eve of destruction

Don’t you understand what I’m trying to say
Can’t you feel the fears I’m feeling today?
If the button is pushed, there’s no runnin’ away
There’ll be no one to save with the world in a grave
Take a look around you boy, it’s bound to scare you, boy
And you tell me
Over and over and over again, my friend
How you don’t believe
We’re on the eve of destruction

Yeah, my blood’s so mad, feels like coagulatin’
I’m sittin’ here just contemplatin’
I can’t twist the truth, it knows no regulation
Handful of senators don’t pass legislation
And marches alone can’t bring integration
When human respect is disintegratin’
This whole crazy world is just too frustratin’
And you tell me
Over and over and over again, my friend
How you don’t believe
We’re on the eve of destruction

And think of all the hate there is in Red China
Then take a look around to Selma, Alabama
Ah, you may leave here for four days in space
But when you return, it’s the same old place
The poundin’ of the drums, the pride and disgrace
You can bury your dead, but don’t leave a trace
Hate your next door neighbor but don’t forget to say grace
And you tell me
Over and over and over and over again, my friend
You don’t believe we’re on the eve of destruction
No no, you don’t believe we’re on the eve of destruction

提供元: Musixmatch
ソングライター: Barri Steve / Sloan P F
明日なき世界 歌詞 © Universal Music Corp.

スローン本人の歌唱

 

泥沼化するヴェトナム戦争や米ソ冷戦下の核戦争の恐怖を歌う「明日なき世界」、原題の「Eve of Destruction」は「世界破滅の前夜」という意味でしょう。

明日なき世界 対訳:石川真男

東の国では炎が上がっている
蛮行が激発し銃弾が次々と込められる
君は人殺しには十分な年齢だ
投票権にはまだ若いけど
君は戦争正しいと思っていない
だけど背負っているその銃は何なんだ
ヨルダン川には遺体が浮いているというのに

※だけど君は言う
くりかえし、くりかえし、くりかえし何度も、友よ
君は信じていないんだ
我々が破滅前夜にいることを

僕が何を言いたいのかわからないのかい
恐れを感じないのかい
僕が今感じている恐れを
もし、ボタンが押されたら
もう、逃げることはできないんだ
誰も助けてはくれない
世界が死を迎えたら
周りを見渡してごらん
必ず恐ろしくなるはずだから

※だけど君は言う
くりかえし、くりかえし、くりかえし何度も、友よ
君は信じていないんだ
我々が破滅前夜にいることを

あぁ、僕の血は熱くなりこのまま固まってしまいそうだ
僕はここにいて ただ思いをめぐらせる
事実を曲げることは出来ない
なんだって起こり得るんだ
一握りの議員が法案を阻止する
行進だけでは統一を勝ち取ることはできない
人間の尊厳が崩壊する時
この狂った世界はただ苛立ちを引き起こすだけ

※だけど君は言う
くりかえし、くりかえし、くりかえし何度も、友よ
君は信じていないんだ
我々が破滅前夜にいることを

憎しみと言えば それは中国にある
そしてアラバマ州セルマに目を向ければ
あぁ、ここから逃げ出し
4日間の宇宙旅行に出たくなるかもしれない
だけど、戻ってきたら
そこはこれまで通りの変わらぬ世界
太鼓を打つ音 自尊心と恥辱
過去のことを忘れていいんだ
それなら、跡形もなくね
隣人を憎んでもいい
それなら、お祈りを忘れずに

※だけど君は言う
くりかえし、くりかえし、くりかえし何度も、友よ
君は信じていないんだ
我々が破滅前夜にいることを

ああ、ああ、君は信じていないんだ

ヨルダン川、議員の法案阻止、赤い中国、アラバマ州セルマは、それぞれ65年当時問題となっていた中東戦争、公民権法の採決、文化大革命の中国、血の日曜日事件のことを指していると思われます。

日本でもすぐに高石ともやが歌っていましたね。ぶろっこりの年代には懐かしいけど、現在まで歌い継がれているのは、RCサクセションの忌野清志郎がアルバム「カバーズ COVERS」1988年でこれを取り上げたことが大きいと思います。反核のテーマを扱ったアルバムが、レコード会社の思惑で発売中止(「素晴しすぎて発売出来ません」という新聞広告)になりますが、それが逆に話題になり他のレコード会社から発売してヒットすることになります。バリー・マクガイアの時と同じような経緯でヒットするという、興味深い出来事でした。というか、表現の自由を貫いたキヨシロー、あんたは偉いと言いたい。

 

RC SUCCESSION – 明日なき世界

 

明日なき世界 RC SUCCESSION 1988

Too bad your dream turned into a nightmare

東の空が燃えてるぜ
大砲の弾が破裂してるぜ
おまえは殺しの出来る年齢
でも選挙権もまだ持たされちゃいねえ
鉄砲かついで得意になって
これじゃ世界中が死人の山さ
でもよォー 何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ
嘘だろ
感じねえかよ この嫌な感じを
一度くらいは TVで見ただろ
ボタンが押されりゃ それで終りさ
逃げ出す暇もありゃしねえ
見ろよ そこの若いのよく見てみろよ
びくびくするのも 当り前さ
でもよォー 何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ
嘘だろ
奴らは俺がおかしいと言う
でも本当のことはまげられやしねえ
政治家はいつもゴマカシばかり
法律で真実は隠せやしねえ
そりゃ デモをするだけで平和がくるなんて
甘い夢など見ちゃいねえさ
でもよォー 何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ
嘘だろ
狂ってきたこの世は騒がしいぜ
こんなとこからは逃げるに限る
一週間ほど宇宙旅行に
でも戻って来る場所はもとの故郷
進軍ラッパが闇の中にひびく
潜水艦がジェット機が国を取り巻く
でもよォー 何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ
嘘だろ
Can you tell me?
Why people are just so stupid
Can’t they all just be friends
Everybody… is Human
東の空が燃えてるぜ
大砲の弾が破裂してるぜ
おまえは殺しの出来る年齢
でも選挙権もまだ持たされちゃいねえ
鉄砲かついで得意になって
これじゃ世界中が死人の山さ
でもよォー 何度でも何度でも
おいらに言ってくれよ
世界が破滅するなんて嘘だろ
嘘だろ
I believe in God, the father Almighty
Creator of heaven of Earth
I think if he’s looking down
We’re just a bunch of Puppets
Too bad,
Your dream… turned into a nightmare
Too Bad

そういえば、カバーズには、もう1曲スローンの作品が収録されています。ジョニーリバース Johnny Rivers の「秘密諜報員」シークレット・エージェント・マン Secret Agent Man 作詞・作曲はスティーヴ・バリ、P. F. スローン。ドラマ「デンジャー・マン Secret Agent 」の主題歌に使われ1966年全米3位を記録してます。でも日本では、ベンチャーズのインストゥルメンタル・カヴァーの方でおなじみかもしれません。

JOHNNY RIVERS – Secret Agent Man 1966

清志郎も、スローンが好きだったのかなあ。

ちなみにドラマ「デンジャー・マン Secret Agent 」で主演したパトリック・マッグーハンが、1967年に自ら制作したドラマが「プリズナーNo.6 The Prisoner」。このドラマはNHKで放送され、ぶろっこりがハマってみていた思い出があります。組織を辞職したスパイが拉致されて、国籍不明のユートピア風の「村」に幽閉され、その村の支配者にさからって村からの脱出を試みるという難解なスパイSFでカルトな人気があるTVドラマでした。主人公が何度も脱出を試みるのですが、最後には謎の風船?白い球体?が現れて失敗するという不思議な世界観にぶろっこり夢中になってみていました。

話がいろんなところに広がってしまいましたが、P.F.スローン P.F. Sloan については、「孤独の世界 From A Distance」の回で、もう少し取り上げたいと思います。

 

最後までご視聴いただきありがとうございました。

それでは、また。#300

 

 

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