映画「陰陽師」のレビュー・綺麗なファンタジーだけど。。。

Candy's Review

先日、映画版の「陰陽師」を観ました。全体の印象は「綺麗なファンタジー」。平安時代の雅な世界を舞台にした幻想的なストーリーが広がり、映像の美しさは確かに楽しめました。でも、正直なところ、Netflixでハイクオリティな作品を見慣れている私には、特撮のクオリティがちょっと物足りなかったんです。まるで高校の文化祭を見ているようなチープさがあって、特にYoshiko姫の深層記憶のシーンは、可愛いけれど深みがないという印象でした。

監督とキャストについて

本作を手掛けたのは、監督の滝田 洋二郎さん。これまでも数々の名作、そしてファンタジー作品で幻想的な世界を描いてきた方です。主演の山崎賢人さんが陰陽師・安倍晴明を演じ、柔らかい雰囲気が彼らしい晴明を表現していましたが、最近彼の出演作が多すぎるせいか、ちょっと新鮮味に欠けた感じがしましたね。奈緒さんのYoshiko姫は、儚くて繊細なキャラクターをうまく演じていましたが、全体的に登場人物たちが痩せすぎていて、線が細いんです。特に男性陣が頼りない印象になってしまって、もう少し迫力が欲しかったかな。

板垣 李光人さんが演じた帝も、あどけなさが残る少年のようで、威厳や統率力が感じられなかったのが残念。平安の帝って、もう少し堂々としていてほしいですよね。

アニメ版のキャラクターがとても魅力的なだけに残念です。

特撮と映像のクオリティ

さて、肝心の特撮ですが…ここが一番の課題でした。妖怪や魔法のシーン、もっとダイナミックで迫力があると良かったのに、どうしてもCGが現実味に欠けていて、「これで本当に戦ってるの?」と思うことも。Netflixの作品に慣れていると、どうしても期待してしまうんですよね。予算の問題もあるのかもしれませんが、次回作があるなら、ぜひ映像技術にもっと投資してほしいです。

衣装デザインの意図

本作で気になったのは、女性キャラクターたちの衣装です。ほとんどの女性が赤いチュニックの上に着物を羽織るスタイルで、平安時代っぽくないのが少し気になりました。これ、たぶん視覚的なインパクトを狙ったデザインなんでしょうけど、どうも安っぽく感じてしまいました。赤色にはエネルギーや生命力を象徴する意味もあるので、Yoshiko姫のキャラクター性を表現する意図はわかるんですが、もう少し工夫してほしかったな。

Yoshiko姫の物語とラストシーン

物語のラスト、Yoshiko姫が帝のもとに行ってしまうという展開には、ちょっと共感できませんでした。正室もたくさん他の女性もいる帝のもとに行くことが「おめでたい」なんて、どうにも納得できないし、むしろ物語の締めとしては残念に感じました。彼女が自分の意思で選ぶ愛とは?という描写がもっとあれば、エンディングも違ったのでは?と思ってしまいます。

まとめ

「陰陽師」は、美しい映像と幻想的な世界観を楽しむことができる作品ですが、特撮やキャラクターの描き方、衣装デザインなど、もう少し細部にこだわりがあれば、もっと魅力的な映画になったのではないかと思います。山崎賢人さんをはじめ、キャストの演技には見応えがあったので、次回作があるならば、ぜひ映像のクオリティアップに期待したいです。

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