@今週の洋楽 人々の様々なハレルヤ K.D.ラング k.d.lang ハレルヤ Hallelujah

今週の洋楽 ぶろっこり

前回は、ポピュラーなクリスマスソングをお送りしましたが、今回はカナダのミュージシャン K.D.ラング k.d.lang の ハレルヤ Hallelujah です。ハレルヤといっても聖歌や賛美歌・クリスマスソングではありません。けれども、いろいろな意味でアンセム anthem であることは間違いないと思います。

雪の中にしっかりと立つ樹木が少し寂しげなジャケット写真。このアルバムのタイトル「Hymns of the 49th Parallel」k.d.lang 2004 は、「北緯49度(アメリカとカナダの国境線)の賛歌」というような意味で、カナダ人であるラングが、同じくカナダの優れたアーティストの佳曲を歌い上げたアルバムです。すべての曲が、ジョニー・ミッチェル、ニール・ヤング、レナード・コーエンといったカナダのミュージシャンから選ばれています。(セルフカバーを含めて)ドラムレスのバック・バンドに、ストリングを交えたアレンジがラングのボーカルを際立たせています。まるで、カナダの広大な自然の中に立っているような感覚を覚えるアルバムです。

特に、レナード・コーエンのカバーのHallelujah。いいなあ。 ラングは、現代の有数のボーカリストであることはまちがいありませんが、特にこのナンバーは、上手な歌唱以上の”なにか”を感じさせます。カバー曲ではなく、彼女のために書かれたオリジナルの曲のようです。

hallelujah k.d.lang 2004

I’ve heard there was a secret chord
That David played, and it pleased the Lord
You don’t really care for music, do you?
Well it goes like this
The fourth, the fifth
The minor fall, the major lift
The baffled king composing Hallelujah
Hallelujah
Hallelujah
Hallelujah
Hallelujah
Well your faith was strong but you needed proof
You saw her bathing on the roof
Her beauty and the moonlight overthrew you
Well she tied you to her kitchen chair
She broke your throne, and she cut your hair
And from your lips she drew Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Baby I’ve been here before
I’ve seen this room and I’ve walked the floor
Used to live alone before I knew ya
But I’ve seen your flag on the marble arch
Our love is not a victory march
It’s a cold and it’s a broken Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Maybe there’s a God above
But all I have ever learned from love
Was how to shoot somebody who outdrew ya
It’s not a cry that you hear at night
It’s not someone who’s seen the light
It’s a cold and broken Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah

ソングライター: Leonard Cohen
Hallelujah 歌詞 © Sony/ATV Music Publishing LLC

このハレルヤという曲は、もちろん宗教曲のハレルヤではなく、レナード・コーエンというシンガーソングライターが1984年に作った曲です。曲中、ハレルヤ(ヘブライ語由来の言葉で、「神をほめたたえよ」の意味)が何度も繰り返されますが、歌詞の内容は難解で、聖書のダビデ王の堕落したエピソードやサムソンとデリラの不信仰な逸話を語りながら様々なハレルヤ cold and broken Hallelujahを紡いでいます。レナード・コーエンは、この曲を五年もかけて書いたというのもうなずけます。現在でこそ、弾き語りのアンセムと言われる曲ですが、世に知られるようになるまでは、随分長い時間がかかったようです。ボブ・ディランやヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケールのカバーによって次第に知られるようになり、ジェフ・バックリーの遺作として注目されることとなりました。
その後、何百というミュージシャンがカバーしていますが、その中でもラングのカバーは、名唱と呼べるものだと思います。しっとりとしたラングの熱唱がまた、この曲の新しい側面を照らしてくれました。
ラングは2010年のヴァンクバー・オリンピックの開会式でも、同曲を歌い、世界中に広く知られることなりました。寒さの厳しくなったこの時期に、アルバムごと味わってみてください。

最後に、オリジナルのレナード・コーエン ハレルヤ をどうぞ。こちらも、渋すぎてしびれます。7分以上の熱唱です。

Leonard Cohen – Hallelujah (Live In London)

 

 

それでは、また。#13

 

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