【デンマークのホームヘルパーは、お嫁さんではなく、プロ】
**ブックレビュー 「寝たきり老人のいる国いない国」(1)**
この本を開くとすぐに、大熊由紀子さんからのメッセージが目に飛び込んできます。
「北欧の社会と出会ったとき
私は悲しくなりました。
私たちの国と違いすぎるのです。
そこでは、
老いた人も、障害を持った人も、
誇り高く生きていました。
。。。。。。。
この想いを
私一人のものにしてはならないと。。。
それがこの本になりました。」
わたしは、大熊由紀子さんのメッセージを真っ正面から受け止め、その後の人生で、深く、北欧に関心を持つこととなりました。そして、それは、デンマークにとどまらず、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、オランダにも広がっていき、今では、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの、人に優しい誰もが暮らしやすい社会を作る国々にも関心を抱いています。
北欧の話をすると、生徒も学生もおとなの方も
「デンマークに移住したい!!!」と言われるのですが
わたしの想いは違っていて
「この日本もデンマークのようになればいい」と願うのです。
同じ人間がこんなに素晴らしい社会システムを作れたというのは
「希望」です。
日本でも少しずつでも、変わることができるはず。
日本も誰もが生きやすい国になれるはず。
みなさんに、そんな希望を持っていただきたいのです。
選挙での日本の投票率は、50%をきることもあります。
個人が、何を言っても同じだ、お上には逆らえない、社会は変わらないというあきらめがあるのではないでしょうか?
デンマークを通して、たった一人の声からでも社会を変えることができる力があるということを知っていただきたいです。
この本は、大熊由紀子さんが28年前に書かれたので、データが今とは少し違うかもしれませんが、でも、わたしは、今の日本が、あまり変わっていない!28年前で時間がとまっていると感じることがあります。
たとえば、大熊由紀子さんが28年前に書かれた
「日本には48万人の寝たきり老人がいる。2000年には、100万人を超えるだろうと政府は想定している。」
「寝たきり状態の老いた親、老いた妻の世話に疲れ果てたあげくの殺人や心中の記事を見る。」
「日本ではお嫁さんが、お年寄りの世話をする人」
今も、変わっていません。
ところが、「寝たきり老人」という概念そのものが、ドイツにも、デンマークにも、スウェーデンにもないのです!!!
スウェーデンの南端の町、マルメのサービスセンターでは、周辺1キロ以内に住む人々のため、ホームヘルパーの詰め所が20カ所配置され、
400人のホームヘルパーが、毎日、朝、昼、晩と、
身の回りのことが出来ない高齢者や身体の不自由な人たちのお宅にきて、お食事の世話をはじめ何から何まで、日常生活を手伝ってくれるのです。
もちろん、無料です。
どんな人でも、このサービスを公共サービスとして受けることができるのです。
日本では、ホームヘルパーさんは
たった1週間に1回、
1時間、
部屋の片付けにきてくれる程度です。
時間や回数を増やしたり、もっと手厚い支援をしてほしいなら、多額のお金を出さなければなりません。誰にでもできることではないので、家族で仕事を辞めてまで介護をし、生活費もなくなり、悲惨な事件が起きてしまうのです。
デンマーク、北欧のホームヘルパーさんは、プロです。
自分自身で介護をするつもりもない男性の行政官や政治家が考え、国家予算を福祉に振り分けないでもいいように計画された、「家族の仕事」「お嫁さんの仕事」では、24時間気が抜けず、休日もなく、疲労コンバイの毎日が際限なく続くのです。
労働基準法が女性に禁じている「30キロ以上の重量物」をお嫁さんは毎日持ち上げなければなりません。
北欧のホームヘルパーは、公務員。
仕事は、交代制です。
休暇も保証されています。
仕事で疲れ果てることはありません。
いつも笑顔で、はつらつとしています。
介護される身にとって
笑顔で接してもらえるのは
どんな薬よりずっと効き目があるにちがいまりません。
詳しくは、大熊由紀子さんの著書「寝たきり老人のいる国いない国」ぜひ読んでみられて下さい?
コメント